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私は「毛主席の小戦士」だった―書評

私は「毛主席の小戦士」だった―ある中国人哲学者の告白私は「毛主席の小戦士」だった―ある中国人哲学者の告白
(2006/10)
石 平

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 中国の愛国主義教育、反日感情についての執筆活動を続ける評論家・石平氏の著作。

 同氏の本を読むのは『中国「愛国攘夷」の病理―吹き荒れる電脳ナショナリズム』以来。というのも『数字が証す中国の知られざる正体―「21世紀は中国の世紀」のウソを暴く』とか、『 「日中友好」は日本を滅ぼす!――歴史が教える「脱・中国」の法則』とか、おどろおどろしいタイトルを見るだけで、なにかげんなりしてしまう。

 中国本は「売らんかな」という気持ちが先走りすぎて、扇情的すぎるタイトルをつけているものが多いが、逆にそれで引いてしまう人もいるのではないかと思う。最近だと『China Price』が『中国貧困絶望工場』という邦題をあてられていたが、いい本なのにタイトル見ただけで「そんなの読んでいるの?」と眉をひそめられたこともあった。

 そういう意味では本作はてらいのないタイトルだが、それだけに手に取りやすいかも。図書館で目についたため、なんとなく借りてしまった。

 すると、石平氏が語る自らの体験はなかなか興味深いもの。文革期にあたる少年時代、学校で徹底的に毛沢東を崇拝するよう教育を受けたこと、授業をする女性教師が毛沢東の素晴らしさを語りながら涙ぐんでいたことなどが語られ、そこから民主化運動への参画と挫折しての日本留学と体験が語られていく。

 ほかにも、愛国主義教育にどっぷりつかった甥から、日本で稼いだ金は受け取れない、と小遣いを突き返され、中国の反日感情問題を告発することを決意したこと。漢方医だった祖父に論語を学んだエピソードは印象的。当時、封建思想の代表である儒教を学ぶことはきわめて危険な行為だった。そのため祖父は書き取りさせたノートを焼いていたという。その後、日本に留学後、多くの論語関連の本を目にし、中国が失った文化が日本に残っていることに感動して「親日派」となったのだという。

 本書ではそれ以外にも石平氏が他の著作でも説いている中国の愛国主義教育、反日感情の問題についても触れているのだが、そこには少し違和感がある。というのは石平氏の描く「ウルトラナショナリズム」に毒された中国人は、みな心の底から日本を憎悪しいきりたっている姿で描かれているためだ。

 私の交友範囲はそんなに広いものではなかったが、その範囲で知っている中国人の若者の印象とは全然違うというか。日本製品好きだし、日本文化にも興味あり。日本人と友達になることも屈託がない。ただそういう彼らがなにか事件があると不買運動だーと盛り上がったり、飲み会の席で日本の悪口を言い合ってみたりと変貌する。もちろんかちこちの反日青年もいるのだろうが、そうじゃない普通の感情しか持たない人が大多数ではないかというのが私の感じたところだった。

 つまり「反日」というのは誰かとおしゃべりしたり、盛り上がったりする時に消費される格好のネタの一つでしかないというのが私の読みだ。日本の悪口は中国人ならば誰でもすぐに文脈が理解できる格好の題材なのだ。

 日本を悪くいうこと、がそこまで広まっている社会こそ反日そのものではないか、と言われたらそれまでだが、そうだとしてもそれは江沢民以降の愛国主義教育の成果というよりも、抗日戦争映画などそれ以前から続いているものではなかろうか。

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